2022.3.22【小説的思考塾vol.7メモ】その4

ハイデガーは、ヘルダーリンの詩を論じる中で、(ハイデッガー全集『ヘルダーリンの讃歌「回想」』)
詩の言葉は表面的な意味の向こうに広がるものを思索していると言う。それは、言葉の意味としての〈正確さ〉には縛られない。
「不正確という思考が生じうるのは、人がただ正確という圏域の内部において思考している限りにおいてのみである。」
つまり、ある言葉の使用が「正確か不正確か」という判断をしたがるのは、そもそも言語観として狭い。

ハイデガーは現代の言葉が、本来の意味の広がり・奥行・威光を失ったことを繰り返し指摘する。社会がデジタル化するのは、この半世紀あとだが、言葉や概念の用法はすでにデジタル化していた。

ハイデガー的に言うなら、「人は存在の根拠を名指しえない言葉によって存在を思考しようとしている(つまり、それは無理だ)」