【小説的思考塾 vol.6 メモ】その9 説明の限界

BS〈ヒューマニエンス〉の、このあいだのイヌの回は酷かった(再放送らしいけど)。
犬がどれだけ人間の言葉を理解するか?とか、人間の心と共振することとか、飼ってる人なら当たり前だと思っていることの、はるか手前の話ばかりだった。

ダメだった最大の理由は、科学的に証明できる範囲でしか犬の能力を説明しようとしなかったこと。つまり、それではほとんど何も説明できない。
生き物や自然は、深く付き合って知れば知るほど、証明や説明できないことの広がりが実感できるはずだ。

まさに「私たちの知は世界に対していつも限界を抱えているからこそ世界は実在するのである」だ(その2の批判的実在論、その8の監視者)。
知性とは、説明することだけでなく、説明できない領域を示すことでもあるだろう。