【小説的思考塾vol.5 資料1】
一切の過ぎ去りゆく事物があたかもひとつの無のように、取るに足らないもの、ささいなものと映らないならば、私は□□を決して見出すことはできない。
私が□□を、ひとつの光として、あるいはひとつの有(う)として、あるいはひとつの善として、掴むなら、それは□□それ自身ではない。
私が何かあるものを見るならば、あるいは何かあるものが私の認識の内へと入ってくるならば、それは決して□□ではない。
【小説的思考塾vol.5 資料2】
命は有限だ、神がそのようにある機会において人に教えるということでなく、ある機会においてあたかも神が人にそのように教えていると受け止めるほどにそれを貴重なものとして私は考えなければならないという考えに打たれた。今がそのことだ、命は有限だ、有限であるその状態を極小にすることによって私は命の有限にさらに直面した、それが二匹の子猫の死だ。(夜明けまでの夜 p.232)
【小説的思考塾vol.5 資料3】
どんなささやかなものでもささやかであるほどそこに真実はあらわれる、真実は五感を経ないのだから五感をともなわなれば働かない人の思考はまず、ささやかさに注目し、ささやかさに傾聴しなければならない、ささやかであることは五感が無力であることのサインなのだ。(夜明けまでの夜 p.234)11/6配信