2024.03.06『鉄の胡蝶……』67回目(『群像』3月号⑥)

出来事の順番の話だ、時間や歳月の話だ、老いた者は現役世代が当然としているこの社会を成立させている命題の外に出ることができるということだ、老いた者が自分を語る言葉や概念を持たないという話だ、…… 善悪の彼岸、正誤の彼岸か。

小島信夫がすごいのは私はフリージャズやフリーインプロヴィゼイションが考えの中心だから文学者の考えでフリージャズの目に応えられるのは小島信夫だけだ、
自由とはおのれであるという欲望の奴隷でないことだ——

書いたり言ったりすることは間違って解釈されることと分けて考えられない、作家であるということは意味を正確に伝えることでなく書いたことが正確に伝わらないことだと、…………小島信夫だけだ、
「作家であるということは書いたことが正確に伝わらないことだ」