2023.08.10 群像9月号『鉄の胡蝶』その2

群像9月号『鉄の胡蝶』

どうしてもその人も意味やテーマから自由になれない、 「私はねえ、小島さんからも言われつづけたんですよ。あなたはどうしても肝心なところがわかってないと、何度言われたか、わかりませんよ。」 とその人は繰り返し私に言った、私の本は必ず読んで、磯崎憲一郎と山下澄人もほとんど読んでどれも面白がるのだが、 「あの小説は理不尽に死んでいった若者たちへの鎮魂なんでしょうかねえ、ーー」 と、とてもピント外れなことを言ってしまう、真面目にしか読むことができない、私は会ったり電話で話したりするたびにそこにがっかりしてすぐにまたお話しをしようという気力が出ないで間があいて、なんてことをしていたら母の世話に鎌倉と往復することがひんばんになって、その人と直接会う時間の余裕がなくなっているうちにコロナ感染が広がり、