「あの明るい階段をペチャと花ちゃんが昇り降りしたら楽しいね」と二人で言った、
注意深く読むと気がつくけど、2人でこの話をした時点で、2人はまだ花ちゃんと出逢ってない(笑)
でも、回想するということは〈まだいない花ちゃん〉も参加しているということなんだけれど、そんな計算があって書いたわけでなく、私はうっかり、花ちゃんがいる光景を回想してしまった。
この小説に或る力があるとすれば、このような事実の間違いに作者が気づかず、校正者も気づかず、たぶんほとんどの読者も気づかない、そういう混乱を許すトーンが全体にあることなんだと思う。