【小説的思考塾vol.6 メモ】その4 横尾さんが言う〈霊〉〈魂〉

「通販生活」で始まった横尾さんの「猫のち猫」。横尾さんが使うと〈霊〉〈魂〉という言葉がリアルになる。人は言葉をたんなる記号としてでなく喋る。言葉にはその人の経験や記憶や思索の厚みが反映される。

言葉をたんなる記号と思い、記号という範囲で正しく使用するという接し方は、自分の(相手のも)経験・記憶・思索をいったん記号レベルに限定して、そこから組み立てるだけだから、経験・記憶・思索それ自体がどんどん痩せていく。

言葉はこちらから強引に意味を被せて、無理やり厚みを塗り付ける。意味も使用法もそこから新たに開拓される。
そうしないと、〈死〉も〈再生〉も〈不死性〉も〈生〉も、語としてでなく、実体として、豊かにならない。