2023.09.18 群像10月号『鉄の胡蝶』②

今月は中身がみっしりなのです。実物買っても、損ありません😺
今日はp.408辺を引用

私は佐貫さんの今回の絵を中心にしたというよりほとんど今回の絵を展示するための展覧会があり、そのパンフレットの文章を頼まれて、これらの絵について今となってはどうしてあんなに取っかかりがない、どういう風に書けばいいんだろうと困ったというか、これは難渋すると思ったのか今となってはわからない、 今は佐貫さんの、自分で〈勉強の絵〉と呼ぶ今回の色とりどりの水彩中心の絵はふつうに楽しめばいい、あれをふつうに楽しめないのは私の心に何か、先月トータルとして気がついた煩悩が私の中にあるからだ、 私はあの絵をはじめて見たときに、 「何はともかくきれいだ、感じいい」と思ったんだからそう書けばよかったのだ、それだとパンフレットの解説にならないとか、そんな単純な感想では解説と言えないというようなことは書くときに考えればよかった、 白い紙や画布や壁が前にあれば絵描きなら何かを描く、私は文章書きだら、 「何はともかくきれいだ、感じいい」と思ったことから書けば、何かは書いたのだ、それに絵の鑑賞とかにはふだんあんまり関係ないと思っていた近所の店の人は、 「わかるとかわからないとかはわからないけど、この絵きれいだからもらっていい?」 と私からパンフレットを受け取った、 その人がそう言った瞬間、佐貫さんの佐貫さんの絵のパンフレットのまわりを風が吹き抜けた気がした